物質中の原子核スピンは、まわりの電子のスピンや軌道気モーメントが作る超微細磁場と相互作用しています。(超微細相互作用)
この相互作用は次のような測定を通して観測することが出来ます。
外部磁場をかけると誘起された電子磁気モーメントが作る超微細磁場によりNMR周波数がシフトする。
周波数シフト=原子核位置における局所磁化
強磁性体や反強磁性体などの磁気秩序状態では、零磁場下でも共鳴が観測される。
金属や常磁性中では、スピンや軌道モーメントの揺らぎにより核ゼーマン準位間の遷移が引き起こされる。⇒核スピン格子緩和現象
(電子系の磁気的揺らぎのスペクトル)
超微細結合を媒介として,核スピン間の間接相互作用が生じ,共鳴線に構造をもたらしたり、核スピン系の横緩和を引き起こす。
更に多くの原子核は四重極モーメントを持っており,周囲の電子系が作る電子勾配と相互作用
します。そして、電気四重極相互作用により、電子の電荷分布に関する情報が得られます。
典型的な例(水、常磁性金属、強磁性金属、超伝導体)
以上のようにNMRは物質中のスピンや軌道磁気モーメントの微視的な状態、特にダイナミカルな性質を知るための貴重な手段であるばかりでなく、電子の電荷分布や軌道状態についての情報も得られるユニークなプローブです.このことは量子スピン系、高温超伝導体、金属絶縁体転移の研究にすごい威力を発揮します。
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