核磁気共鳴(NMR)とは?




多くの原子核は、スピン角運動量に付随した磁気モーメントを持っており、磁場の中に置かれるとゼーマン分裂を起こします。(下図) 
                   

              

       (h:プランク定数、ν:周波数、γ:回転磁気比、H:磁場)
 

このとき、準位間(Tz = −1/2 , Tz = 1/2)のエネルギー差(hν)に等しい周波数の交流磁場をあてると遷移が引き起こされ、エネルギーが吸収されます。

実験室で作られる磁場(最大20テスラ程度)に対応して、NMRの周波数は1MHz〜800MHzの高周波域にあります。

通常はパルス法により高周波パルス磁場を試料にかけ、スピンエコーと呼ばれる信号を観測します。

NMRは、現在では物理、化学ばかりでなく、生体物質の研究や医療診断(MRI映像装置)、更には量子コンピュータの試みなど幅広く応用されています。